収縮期血圧(最高血圧)は低いのに、拡張期血圧(最低血圧)が高い
血圧が高いというと、収縮期血圧、つまり最高血圧が高いということを意味すると考えている方もいらっしゃると思います。上の血圧は注意してみても、下の血圧、つまり拡張期血圧(最低血圧)は見ていないという人もいます。
ところが、収縮期血圧は基準値程度なのに、拡張期血圧が高め・・・というケースもあります。
これはどういう意味なのでしょうか?上の血圧は基準値なのだから、心配ないのか、それとも、下の血圧が高いのはやはり問題なのでしょうか?
高血圧の基準値を見てみる
高血圧の基準(ガイドライン)は下記のようになっています。
分類 |
収縮期血圧 |
拡張期血圧 |
|
至適血圧 |
< 120 |
かつ |
< 80 |
正常血圧 |
< 130 |
かつ |
< 85 |
正常高値血圧 |
130〜139 |
または |
85〜89 |
I度高血圧 |
140〜159 |
または |
90〜99 |
II度高血圧 |
160〜179 |
または |
100〜109 |
III度高血圧 |
≧180 |
または |
≧ 110 |
(孤立性) 収縮期高血圧 |
≧140 |
かつ |
< 90 |
病院で血圧を測った際に、最高血圧が140以上、または、最低血圧が90以上だと高血圧と診断されます。ここに「140以上または90以上」と「または」という言葉が入っているのに気づかれましたでしょうか?
つまり、上が140未満であっても下の血圧が90以上であれば、高血圧に当てはまるのです。ですから、拡張期血圧が高くても収縮期血圧が低いから大丈夫・・・ということではないのです。
また、家庭で計測する場合、この基準値は低くなります。家庭の場合、病院よりもリラックスして計測できるためです。家庭での高血圧の基準は:
家庭では135/85mmHg以上だと高血圧
と診断されます。病院の場合は140/90mmHg以上ですから、それぞれ5mmHg程度低めに設定されているのです。
この場合も同じように上の血圧が135未満でも、下の血圧が85mmHg以上だとすると高血圧に当てはまります。
最低血圧が高くなるのは高血圧の初期症状
最高血圧が低いのだから、最低血圧が高くても大丈夫だろう・・・ついそう思ってしまいます。しかし、実際はそれは高血圧の初期症状であることが多いようです。
高血圧の初期は上の血圧はそれほど上がらず、下の血圧が上がりやすくなります。ですから、上下の血圧の差も小さくなります。特に若い人は平均的に見て、上の血圧よりも下の血圧が比較的高めになる傾向があると言われています。
40歳代や50歳代の方で上の血圧が130程度で、下が110というような方も結構いらっしゃるようです。
逆に高齢者になると、下の血圧は低く、上の血圧が高くなるという現象が起きることがありますが、これは動脈硬化が進んでいる証拠です。収縮期血圧が高い、拡張期血圧は低い参照。
血圧というのは1日の間でも10万回も変動していると言われていますが、その変動にかかわっている主な要素が心拍出量と末梢血管抵抗の2つです。
心拍出量が多いと収縮期血圧が高くなり、末梢血管抵抗、つまり、毛細血管など末梢血管での血液の流れが悪いと拡張期血圧が高くなります。
さて、初期の段階では下の血圧、つまり拡張期血圧が高いだけで、上の血圧、収縮期血圧は低くても、高血圧が進むと収縮期血圧も高くなることがあります。
ですので、この初期の段階で生活習慣の改善などを含め、血圧を下げてゆく必要があります。血圧を下げる方法については、高血圧の予防と改善や高血圧の治療をご覧ください。
末梢血管抵抗について少し付け加えておきますが、運動をすることで末梢血管抵抗が少なくなり、血圧が下がります。また、運動には血圧を調節してくれるホルモンの働きを正常化する働きもあり、高血圧の治療の1つとしては食事療法と並んで基本的な治療法の1つです。