高血圧のガイドラインと目標数値:高血圧の診断基準について
日本人の成人にとって高血圧とは非常に身近な病気の1つです。高血圧は自覚症状もなく進行するため、サイレントキラーとも呼ばれています。(静かな殺し屋)
また、診断されても治療を受けていないとされる人が30代から40代で8割から9割。50代であってもその6割以上が治療を受けていないといった調査結果もあるくらいです。
さて、高血圧の数値の基準ですが、下記が日本高血圧学会が発表した「高血圧治療ガイドライン2009」からのデータです。病院で血圧を測った際に、最高血圧が140以上、または、最低血圧が90以上だと高血圧と診断されます。
分類 |
収縮期血圧 |
拡張期血圧 |
|
至適血圧 |
< 120 |
かつ |
< 80 |
正常血圧 |
< 130 |
かつ |
< 85 |
正常高値血圧 |
130〜139 |
または |
85〜89 |
I度高血圧 |
140〜159 |
または |
90〜99 |
II度高血圧 |
160〜179 |
または |
100〜109 |
III度高血圧 |
≧180 |
または |
≧ 110 |
(孤立性) 収縮期高血圧 |
≧140 |
かつ |
< 90 |
上記で「正常高値血圧」というのがあります。上が「130〜139」、下が「85〜89」がこれに当てはまります。正常とついていますが、この正常高値血圧であっても、毛細血管の損傷がはじまるというデータもありますので、注意が必要なのです。
この表だけを見ると血圧の数値が最高血圧が140、または、最低血圧が90以上だと高血圧と診断されることになりますが、血圧というのは時間帯であったり、季節、温度、ストレスであったり、心理状態によっても大きく影響します。
ですので、健康診断でその数値が出た場合などは、内科を受診して、正確な数値を測ってもらう必要がありますし、時間帯であったり、測定の際の条件を変えるなどして何回か計測してから診断するのが一般的です。
これに加えて、高血圧治療ガイドラインでは危険因子のある、なしによって脳心血管リスクを分類しています。
下記の表をご覧になっていただければ分かると思いますが、糖尿病やなどの危険因子がある場合は正常高値血圧であっても降圧療法が考慮される場合もあることになります。
リスク層 |
正常高値血圧 |
I度高血圧 | II度高血圧 |
III度高血圧 |
リスク第一層
|
付加リスクなし |
低リスク |
中等リスク |
高リスク |
リスク第二層 |
中等リスク | 中等リスク | 高リスク | 高リスク |
リスク第三層 (糖尿病、CKD、臓器障害/心血管病、3個以上の危険因子のいずれかがある) |
高リスク | 高リスク | 高リスク | 高リスク |
家庭での血圧の数値とその基準
高血圧の基準と家庭血圧でもご紹介していますので、簡単にご説明しますが、血圧というのは病院で計測するとやはり少し高めになるのが一般的です。医師や看護師を目の前にすると多少は緊張するものですから。
それに比べて家庭で血圧を測定する場合は、やはり病院に比べるとリラックスしていますから、数値は低くなります。そのため、家庭で計測する場合は高血圧の診断基準も上記のガイドラインに比べて低く設定されています。具体的には:
家庭では135/85mmHg以上だと高血圧
と診断されます。病院の場合は140/90mmHg以上ですから、それぞれ5mmHg程度低めに設定されているのです。家庭で血圧を測定することはとても重要なことです。病院よりもむしろ家庭での血圧の方が日頃の血圧ということになりますので。
家庭で血圧を測る際は血圧計を使います。血圧計は様々なタイプが販売されていて、どれを選んでいいか迷うところです。そこで、選び方については家庭用血圧計の選び方で簡単にわかりやすくまとめていますので、そちらも参考にしていただければと思います。
血圧を下げる際の目標数値
血圧が高い場合は、血圧を下げてゆく必要があります。ただ、血圧というのは低ければ低いほど良いというわけではなく、低すぎると低血圧になり、めまいやたちくらみ、耳鳴りや不眠、肩こり、疲れ目、脱力感・・・といって症状があらわれることがあります。
ですので、ある一定の目標数値というものが必要になってきます。日本高血圧学会ではその目標数値を高血圧治療ガイドライン2009でまとめています。
タイプ |
病院での数値 |
家庭での数値 (最高血圧/最低血圧) |
若年者・中年者 |
130/85 未満 |
125/80 未満 |
高齢者(65歳以上) | 140/90 未満 | 135/85 未満 |
糖尿病・慢性腎臓病・ 心筋梗塞後の患者 |
130/80 未満 | 125/75 未満 |
脳血管障害患者 | 140/90 未満 | 135/85 未満 |
高齢者の場合は、いきなり血圧を下げると血流障害が起こる場合がありますので、その場合は少しずつ血圧を下げてゆくような治療が行われます。