内臓脂肪型肥満と高血圧:肥満は何故血圧を上げるのか?
高血圧の予防では血圧を下げる方法などについてご紹介していますが、今回は肥満についてです。
高血圧は肥満が原因では肥満と高血圧との関連性についてご紹介してきました。また、BMI指数を使って自分が肥満かどうかを計算する方法もご紹介しましたね。
今では肥満は国際的な問題になってきました。子供の肥満も大きく取り上げられるようにもなりました。日本も例外ではなく、肥満は大きな社会問題の1つといえるでしょう。
肥満は血圧を上げることがすでに分かっていますが、そんな肥満の人が体重を減らすとどうなるでしょうか?実は肥満の人がダイエットなどで体重を1キロ減らすことができると血圧がおよそ1mmHg下がるといったこともわかっています。
内臓脂肪型肥満は血圧を上げる
肥満といってもいくつかのタイプがあります。それらが、
1.皮下脂肪型肥満
2.内臓脂肪型肥満
です。このうち、片方は血圧を上げることが知られています。
1.皮下脂肪型肥満
・・・これは皮膚の下に脂肪がたまるタイプ。女性にはこのタイプが多いと言われています。このタイプは下半身が太りやすいのが特徴です。 血圧をあまり上げないタイプの肥満です。
2.内臓脂肪型肥満
・・・こちらが血圧を上げる肥満のタイプです。ぽっこりお腹は内臓脂肪型肥満の特徴で、運動をしていない人や特に男性や閉経後の女性に見られます。このタイプの肥満は体には悪影響を与えることが知られています。
でも何故、内臓脂肪型肥満は血圧を上げるのでしょう?
それには2つの理由があります。
1)血圧を上げる物質が出る
実は、内臓に脂肪がたまっていると、脂肪を蓄えている脂肪細胞から血圧を上げると言われる物質が出ることが知られています。これはアンジオテンシンUと呼ばれる物質で、血圧を上げると言われています。
2)インスリンの働きが低下する
内臓脂肪がたまってくると血糖値をコントロールするインスリンというホルモンの働きが低下します。すると、腎臓でのナトリウム排出機能が悪くなり、血中のナトリウム濃度が高まります。結果的に、高くなったナトリウム濃度を一定に保つために血管に水分が引き込まれ、血液量が増します。
すると血圧も上がる・・・というわけです。
また、インスリンの働きが低下することによって交感神経が刺激されます。交感神経が刺激されると、血管が縮まってしまい、血圧もその分だけ上がる・・・ということになります。
このインスリンの働きが低下することをインスリン抵抗性と言います。
さて、これら2つの原因によって、内臓脂肪型肥満は高血圧の原因になると考えられています。ですが、内臓脂肪型肥満の方は、肥満を改善してゆくことで血圧が下がることが考えられます。
遺伝など生まれ持ったものと違い、肥満というのは、自分で改善することができることの1つですから、自分に合ったやり方で内臓脂肪を減らしてゆきましょう。
高血圧は肥満が原因では内臓脂肪の減らし方についてもご紹介していますので、そちらも参考になると思います。