妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)と高血圧

以前は妊娠中毒症と呼ばれていましたが、2005年に産婦人科学会によって妊娠高血圧症候群と呼ばれるようになりました。

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に何かしらの原因で血圧が上がり、場合によっては胎児にまで危険を及ぼす病気のことを言います。

2つの分類

この病気にもその程度によって2つに分類されます。

1)軽症

収縮期血圧が140〜159mmHg、あるいはたんぱく尿300mg以上2g未満/日。この程度では入院することまではないようですが、ケースバイケースです。食事(塩分やカロリー)のコントロールやその他血圧を上げていると思われる生活習慣の改善が行われます。

2)重症

収縮期血圧が160mmHg以上あるいは拡張期血圧110mmHg以上。この場合は入院というケースが多いようです。食事の管理や薬による治療などが行われます。薬に関しては、胎児への安全が考慮されたものが使われます。

原因と症状について

妊娠中というのはもともとずっと血圧が安定しているわけではなく、初期から中期までは血圧が下がり、出産にむけて上昇してゆく・・・というケースが多いようです。

妊娠高血圧症候群の場合、妊娠20週以降に高血圧やたんぱく尿などを起こします。

原因については不明ですが、胎盤が関係していて、そこから血圧を上げる、もしくは腎臓に悪影響を与える物質が作られているのではないかと考えられています。

この病気に関しても、通常の高血圧と同じく、自覚症状というのはほとんどありませんが、頭痛やめまい、目がちかちかするといった症状を訴える場合があります。また、重症になるとけいれんを伴う場合もあるようです。

妊娠高血圧症候群の場合、胎児にも悪影響を与えることがあります。血圧が上がることによって血管が収縮し、胎児に十分な栄養や酸素が届かなくなることがあります。

注意が必要な人は?

妊娠高血圧症候群になりやすい人、その危険度が高い人というのはある程度わかっています。リスクが高いのは、

血圧が高い人・・・・・・妊娠前から血圧が高かった人は要注意です。

ストレスが多い人・・・・・・仕事や人間関係のストレスなどが多い人もリスクが高いと言われています。妊娠高血圧症候群と診断されると血圧を下げるために仕事をできるだけ休むように指示されることもあるかも知れません。

また、ある統計によると仕事をしている人の方がしていない人よりも妊娠高血圧症候群になるリスクが2.3倍高いとされています。

肥満・・・・・・肥満も妊娠高血圧症候群の原因と言われています。

初産・・・・・・初産の方が発症する確率は3.2%というデータに対して、経産婦の発症率は2%です。

そのほか、糖尿病や腎疾患などがある方もリスクが高いと言われています。

この病気は、出産を終えると治ることが多いと言われていますが、いずれにしても重症化すれば胎児にも危険を及ぼす病気ですので、リスクの高い方は勿論、そうでない方も予防することが大切になってきます。