高血圧と塩分の取りすぎ:塩分の過剰摂取は何故血圧を上げるの?

日本人が塩分を沢山とることはよく知られていることです。WHO(世界保健機関)が定める1日の塩分摂取量は5から6グラムです。しかし、日本人の塩分摂取量は10から11グラムとおよそ倍の数値です。

しかし、高血圧と塩分の取りすぎはどのようにして関係しているのでしょうか?

塩分を多くとっている国の人ほど高血圧になりやすい

高血圧の人は塩分の過剰摂取が原因なのでしょうか?答えははっきりとYESとはいえないのですが、深く関係していることは間違いありません。

高血圧には2つのタイプがあります。1つは本態性高血圧。2つ目は2次性高血圧。高血圧の9割以上は本態性高血圧ですが、このタイプは原因不明の高血圧と言われています。

ただし、高血圧を引き起こす要因は色々と分かってきています。その1つが塩分です。では、塩分摂取が高血圧にどう関係するのでしょうか?

その答えの前にある調査についてご紹介しましょう。

世界の32カ国での塩分摂取量と高血圧について調べた研究があります。それによると、塩分を多くとっている国の人ほど高血圧になりやすい・・・といった結果になっています。アフリカなど塩分を殆どとらない地域の人の場合は高血圧の人もまた殆どいないという結果になっているのです。

そういった結果を見ると、塩分は高血圧とも深い関係があると言わざるを得ないのです。

塩分が血圧を上げる仕組み

さて、塩分を摂取し過ぎるとどうなるのでしょうか?

塩分を取りすぎると、血液中に含まれるナトリウムが増加します。1)すると血管壁の塩分含有量が増え、血管の壁が厚くなります。血圧は血管の壁が10%程度厚くなると1.5倍にもなると言われているのです。

血管の壁が厚くなると、血液を送り出すのにより強い力が必要になり、血圧が上がります。

2)また、血管壁にナトリウムが増えると、交感神経を刺激してしまい、血管がより強く収縮しやすく、血圧も上がると言われています。

3)さらに、塩分のとりすぎで、腎臓が塩分を排出する機能に遅れが出ると血液中のナトリウムの濃度が高くなります。通常は血液中のナトリウムというのは一定に保たれています。

ところが、塩分を取りすぎると血中のナトリウム濃度が増加します。その濃度を下げるために、血液中に水分が引き込まれます。そうすることで、血液中のナトリウム濃度を一定に保とうとするわけです。

水分が引き込まれることで、血液の量が増えます。すると血管が血液量の増加によって圧迫され、血圧は上がってしまう・・・という仕組みなのです。

塩辛いものを沢山食べた後、喉がとても渇いたりした経験はありませんか?

それは血液中のナトリウム濃度を下げるための体の働きだったわけです。しかし、それによって血圧が上がってしまいます。

ですから、そうならないために、塩分の取りすぎは控えるべきということになります。

塩分を取ってもいずれは尿として排出されるのだから、問題ない・・・と思っている方もいますが、確かにいずれはそうやって排出はされるわけですが、その間に血圧が高くなり血管に負担をかけてしまうのが一番の問題です。

また、朝食、昼食、そして夕食と塩分の高い食事をしていると、その分だけ血圧は上がり続けていることになるので、さらに血管には負担がかかるのです。

塩分は男性9.0g/日未満、女性7.5g/日未満が目安だけど・・・

厚生労働省の目標とする1日の塩分摂取量の目安は1日男性9.0g/日未満、女性7.5g/日未満です。

ですが、その塩分摂取量の目安というのはあくまでも健康な人の場合のお話です。高血圧の人の場合は6グラムが目安量となります。塩分に関しては高血圧と食事塩分の多い食品表などでも詳しくご紹介していますので、そちらも参考にしていただければと思います。