高血圧と動脈硬化:心臓病のリスクや合併症も

高血圧によって動脈硬化が引き起こされると、様々な病気を引き起こしてしまうことがあります。血圧というのは高いだけではすぐに死に至ったりすることはありませんが、問題なのは血圧が高い状態が長く続くということです。

この状態が長く続くと動脈硬化のリスクが高まります。そして、それが様々な病気のリスクも上げてしまうのです。

動脈硬化というと高齢者がなる病気という風に考える方もいらっしゃるかも知れませんが、実は動脈硬化というのは10代から20代ですでに始まっていると言われています。ただ、健康な人の場合はその進行がゆっくりのため特に問題が起きるわけではありません。

ところが、高血圧の方の場合は動脈硬化が急速に進むことになり、命にかかわる重大な病気を引き起こすことがあるのです。

3つの分類

動脈硬化とは血管がもろくなったり、硬くなったりして、血液の流れが悪くなることをいいます。さらに、動脈硬化には3つの分類があります。

1.細動脈硬化・・・比較的細い動脈が高血圧によって硬くなること。それにより血管が破れやすくなります。

2.粥状動脈硬化・・・血管の中に粥状の物質がたまり、血管を狭くしたりふさいでしまうこと。脳梗塞の原因にもなります。動脈硬化の殆どがこのタイプです。

3.中膜硬化 ・・・カルシウムが血管の中膜にたまり、石灰化して血管をもろくします。血管壁がやぶれてしまうことも。

いずれも血圧が高くなることで引き起こされる病気です。動脈硬化になると血管が硬く細くなってしまうために、血圧はさらに上がってしまうという悪循環に陥ってしまいます。

動脈硬化というのは加齢に伴ってある程度は誰でも進行するものですが、血圧が高いとその進行が早まるのです。

65歳以上で高血圧の場合、最高血圧が高く、最低血圧が低いという現象が起きる場合がありますが、これは動脈硬化が進んでいる証拠と言われています。早めの治療が必要です。

心臓病について

高血圧の人の場合は心臓病を発症するリスクがそうでない人に対して非常に高くなります。

心臓の周りを取り巻く冠動脈が詰まってしまう心筋梗塞の場合、血圧が正常の人に比べると心筋梗塞を発症するリスクが2倍。心筋への血流が一時的に途絶える又は不足する病気、狭心症の場合は、高血圧の人だと正常の人に比べておよそ2.2倍にもなるといったデータもあるくらいです。

狭心症の場合は後に心筋梗塞へと移行することもある危険な病気ですし、心筋梗塞は命にかかわる重大な病気です。

また、これら虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)は高血圧だけでなく、メタボリックシンドロームが深く関係しているという研究結果も発表されています。

そのほかの合併症

動脈硬化が進むと様々な合併症のリスクが高まります。心臓病以外では、

1.脳卒中・・・脳梗塞や脳出血のこと。脳動脈に血栓ができてつまると脳梗塞が起きることもあります。脳動脈が破れてしまうと脳出血に。どちらも非常に危険な病気です。

2.高血圧性網膜症・眼底出血・・・網膜動脈の硬化によって視力障害や最悪の場合は失明するケースも。

3.腎硬化症・腎不全・・・腎細動脈の硬化によって腎不全になることも。

4.閉塞性動脈硬化症・・・動脈硬化が進行することで、足への血流が悪くなり、最悪の場合、足の壊疽につながります。